<法律用語解説>期限の利益とは、期限の利益の喪失とは?

期限の利益とは、一定の期限が到来するまで弁済(支払い)をしなくてもよい、という債務者の利益をいいます。

たとえば、今日が1月1日で、3月末日が100万円の支払期限であるとします。

そうすると、支払いをしなければならない債務者としては、いますぐ100万円の支払義務があるのに対し、3月末日までの間、100万円を支払わなくてよいことになります。

その間に、100万円と別の用途に使うこともできますし、運用してより利益を得ることもできます。

このように、今すぐに支払わなければならないことに対し、将来に支払わなければならないことの方が、支払う側の債務者にとって「利益」(メリット)であると考えられます。このことをもって「期限の利益」と呼びます。

そして、「期限の利益を失う」というのは、将来に支払えばよかったものが、今すぐに支払わなければならなくなった、ということです。

たとえば、4月末、5月末、6月末に10万円ずつ支払わなければならなかったのに、1回支払いを怠った場合には、期限の利益を失う、という約束をしていたとします。

その場合には、4月末日の支払いを怠った時点で期限の利益を失い、本来であれば5月末日までに支払わなければならなかった10万円、6月末日までに支払わなければならなかった10万円を直ちに支払わなければならなくなります。

つまり、4月末日までに支払わなかったことで、5月末日までに支払えばよかったその利益を失い、6月末日までに支払わなければならなかったその利益を失うということです。

このように将来に支払えばよかったものが、直ちに支払わなければならなくなってしまうことを、「期限の利益を失う」といいます。

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* 本記事は2019年4月執筆時での法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。


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