不動産と相続問題

遺産分割協議について|不動産と相続問題

亡くなられた方(=被相続人)の財産(=遺産)をどのように分けるのかを協議することを、遺産分割協議と言います。

人が亡くなると、今後、亡くなった被相続人の財産を誰が承継していくかという問題が起こりますので、それを解決するための話が遺産分割協議と言ってよいでしょう。

この遺産分割協議は、特に裁判所などの公的な機関を入れて話し合わなければならないわけではないので、相続人間で話し合いを行い、その決まった内容を文書等にして(この作成した文書を遺産分割協議書といいます。)、遺産を皆さんで分ければそれで完了です。

不動産など登記が必要な場合には、相続に基づく遺産分割登記をする必要がありますし、相続財産の額が一定額以上に及べば、相続税の申告をする必要があります。

前者の遺産分割の登記であれば、司法書士の方に、相続税の申告であれば税理士の方に依頼する方法もあります。

上記のとおりの相続人間の協議で話し合いがまとまれば問題はありません。では、まとまらない場合にはどうしたらよいのでしょうか。

まとまらない場合には、いくつかのパターンがあります。

相続人間で話し合いがまとまらないパターン

相続人間で話し合いを行ったがまとまらない、というケースが典型です。

たとえば、父親が亡くなって、相続人が長男、次男、長女の3人という場合に、次男と長女は法定相続分(兄弟なので平等に3分の1ずつ)で分けたいと考えているのに、長男が遺産は同居していた長男である自分がすべて受け取りたい、という場合や、同様に、長男と次男では、土地建物は長男に、預貯金は次男と長女で分けるという方向性で話がまとまっているのに、長女は土地建物を売却してすべて現金化して3分の1ずつ分けたいなど方向性が異なる場合、そのほかにも、なぜか理由はよくわからないが次男が話し合いに応じない場合、などがあります。

このような場合には、弁護士が関与して解決を目指すことをおすすめします。

方法としては、財産関係やその評価額を明らかとした上で、相手方に対して連絡を取り、合理的な遺産分割協議案で協議の上で承諾が得られないかを話し合います。

それでも話し合いがまとまらない場合、あるいは、協議により話し合いがまとまる見込みが薄い場合には、裁判所に遺産分割の調停を申し立てます。

そして、裁判所の調停委員会の関与のもとで相手方と話し合いを行い、遺産分割の解決を目指します。

さらに、調停でも話がまとまらない場合には、裁判所に「審判」という方法で一定の結論を出してもらうことになります。

このような交渉、調停そして審判と行った手続は、相続人の方が本人で行うことも可能ですが、専門的な法律知識と紛争解決の経験を持つ弁護士が関与することで、交渉が困難な案件であったとしても、現実的な解決を模索し、実現を目指していくことができます。

相続人が疎遠で連絡がとれないパターン

遺産分割協議は、通常は、相続人の全員の合意のもとで行われます。

上記の事例のように、父親が亡くなって、相続人が長男、次男、長女という場合には、長男、次男、長女の三人が遺産の分割方法について合意して、はじめて遺産分割協議がまとまった、成立したといえます。

つまり、3人の関与が必要なわけです。

ところが、なんらかの事情で相続人の所在がわからない場合があります。

たとえば、次男の方は若いうちに両親と喧嘩をして家を出てしまい、どこに住んでいるのか連絡先もわからない、という場合です。

このような場合には、弁護士が戸籍等から所在の調査を行い、連絡をとって交渉をするケースがあります。

ここまで記事を読まれると、そのように所在が不明なケースなどは稀ではないかと思われるかもしれませんが、実はこのケースは大変多いです。

どういうことかというと、たとえば、子どものいない方が亡くなって、親もすでに他界しているという場合には、相続人は亡くなった方の兄弟になります。

なくなった方のご兄弟がすでに亡くなっている場合には、相続人は、その子ども(亡くなられた方の甥姪)となります。

では、この相続人である甥姪に連絡を取りたい場合に、甥姪の連絡先や現住所をきっちり把握しているでしょうか?数年前に聞いた連絡先にかけてみても、連絡がつかなかったらどうでしょうか。

このような場合を想定すると、所在不明が決して稀ではないことが想像できるかと思います。

以上は、ほんの一例ですが、方針の相違、協力が得られない、財産をすべて受け取りたいなど、様々な理由で協議が整わない場合があります。

このような場合には、弁護士が、当事者の誰かの代理人として活動することになります。

 本記事は2019年6月執筆時での法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。
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