立ち退き・明け渡し

立ち退き・明け渡し

賃貸物件の賃料が支払われない場合に、賃料回収や契約を解除しての建物の明渡を求めます。弁護士の関与のもと適切な法的手続を行うことで、早期の明渡しを実現することがポイントになります。
そのほか、老朽化物件への対応や、目的外使用等の悪質賃借人に対する明渡請求にも対応します。

ご相談が必要となる方

  • 賃料の滞納が3か月以上ある。または、3か月以上賃料滞納が発生することがほぼ確実に見込まれる。
  • 老朽化物件の建て替えなどで、賃借人への明渡交渉が必要となる方

以下のようなケースでご相談をご検討ください

オーナー、管理会社ともに、建物(マンション・アパートの一室を含む)から賃借人に立ち退きを求めるケースがあります。
私たちがマンション・アパートの賃貸に関連して、立ち退き・明渡しを求める典型的なケースは、以下の3つです。

  • 賃料不払、賃料滞納により賃貸借契約を解除して立ち退き・明渡しを求めるケース(賃料滞納型)
  • 建物の老朽化による建替などの目的で、賃貸借契約の期間満了を理由として、立ち退き・明渡しを求めるケース(期間満了型)
  • 賃借人が不適切に賃借物を利用している等の理由で、契約解除をして立ち退き、明渡しを求めるケース(悪質賃借人型)

このような3つの典型的なケースは、私たちはどのケースも取り扱っております。

賃料不払、賃料滞納により賃貸借契約を解除して立ち退き・明渡しを求めるケース(賃料滞納型)

基本的には、2か月以上の賃料滞納が発生した場合には、明渡しを行うかどうかについて検討を始めるべき段階と考えます。私たちの事務所に相談に来られるケースでは、半年以上、場合によっては1年分以上の滞納がある場合も少なくありません。

このように一定期間の滞納が発生している場合には、賃借人との賃貸借契約を解除して、立ち退き・明渡しを行うことをお勧めします。

「賃料も入らない上に弁護士費用がかかるので依頼を躊躇してしまうのですが。」

賃貸経営と考えるとわかりやすいと思います。

たとえば、月額5万円の賃料の物件であれば、年間60万円の賃料が入ります。

賃料滞納を放置するということは、毎月5万円ずつ得ることができる収益を失っている、1年間で60万円の得べかりし利益を失っていくということになります。一度、賃料滞納が始まったケースでは、その後も継続して賃料が不払いとなることが少なくありません。

そうなれば、立ち退き・明渡しを行わなければ、1月ごとに損失が増えていきます。実際に、私たちが立ち退き・明渡しの滞納で交渉したり、訴訟を起こすケースでは、2,3年分の滞納賃料が貯まっているケースも決して珍しいわけではありません。

弁護士に依頼して立ち退き・明渡しを進めるにはそれなりの費用がかかります。

ただ、たとえば、弁護士費用として50万円の費用がかかったとしても、賃料が支払われないのであればその賃借人に立ち退きを求め、建物を借りる正当な対価である賃料をしっかり払ってくれる賃借人を入居させて、年間60万円の賃料を取得していくことが望ましいと考えます。

もちろん、賃料が支払われても支払われなくてもよい、空き家・空き室のままでは建物が傷むので、そうならないよう賃料が払われなくても人が住んでさえいればよい、というケースもあるかもしれません。そのような場合には、立ち退き・明渡しを行う必要はないかもしれません。

「勝手に鍵を変えて入れないようにしてはいけないのか?」

不動産オーナーの中には、「そんな長期間、賃料を滞納している賃借人が悪いのだから、鍵を変えて入れないようにしてやればいいのでは?」という方もいますが、これはできません。

自力救済の禁止といって、このようなことは認められていません。このようなことを行うと、民事上の賠償責任の問題だけでなく、住居侵入罪や不動産侵奪罪など、刑法上の犯罪に該当してしまう場合があります。

オーナーは約束した賃料が支払われない被害者的な立場であるにもかかわらず、鍵を替えるなどの違法行為を行えば、民事上の賠償責任を負う上に、犯罪者と非難され、むしろ賃料を滞納してきた賃借人に謝罪しなければならない立場になってしまうのです。そうなってしまっては本末転倒です。

ですので、法律の手続に従って適切に対応することをお勧めします。

建物の老朽化による建替などの目的で、賃貸借契約の期間満了を理由として、立ち退き・明渡しを求めるケース(期間満了型)

建物の老朽化その他の理由で、賃借人に立ち退き・明渡しを求めるケースです。
まず、前提として、通常の賃貸借契約の場合には、期間が満了したからといって賃借人に明渡しを求めることはできません。

よく誤解があるのですが、たとえば、マンション・アパートの賃貸借契約で、2年契約で賃貸したとします。
2年契約なのだから2年経ったら出て行ってほしい、という話をしたとしても、賃借人との更新を拒絶する「正当な理由」がなければ出て行ってもらうことはできません。

これは、契約書の中で「2年経過したら必ず出て行く」とか、散々口頭で「2年経過したら必ず出て行く」という話をしていたとしても不可です。(実際に、2年で契約を終了させるためには、「定期借家契約」という一般の賃貸借契約とは異なる契約をする必要があります。)
というわけで、賃借人に期間満了や中途解約のために、立ち退き・明渡しを求めるためには、法律の定める「正当な事由」が必要となります。
ではこの「正当な事由」というのはどのようなものでしょうか。

借地借家
(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第二十八条 建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

法律には、上記のように書かれています。読みにくいのですが、4つの要素があげられています。

  • 賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情
  • 建物の賃貸借に関する従前の経過
  • 建物の利用状況及び建物の現況
  • 建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として・・・建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出

私たちが法律相談や裁判例、実際の訴訟などを行ってきた経験からするとこの「正当な事由」は、一般の方が思っているよりも認められにくいものです。

単に、建物が老朽化してきたので建て替えたい、建物を有効活用したいので建て替えたい、といった理由だけでは認められないケースがほとんどです。(老朽化した物件でも、老朽化物件でその危険性を説明しても、それだけで容易は正当事由が認められにくい場合が多いです。)

とはいえ、だからすぐ諦めるというわけではなく、法律的に正当事由の該当性を検討し、交渉で納得して承諾ない限り立ち退き・明渡しを求めることができないケースなのか、一定程度立退料などで条件調整すれば明渡しを求めていくことができるケースなのか、などを法律的な観点から検討した上で、交渉を進めることが重要です。

私たちが関与したケースでも、早い段階から当然契約期間終了で立ち退きを求めることができると誤認したまま強気で明渡し交渉を始め、賃借人との間で感情的にもつれたということもあります。感情的にもつれると立ち退き・明渡しの交渉が順調に進まないことはもちろん、賃貸借契約は年単位の長期にわたり、貸主・借主・管理会社との関係が続くのに、お互いに嫌な感情を抱えたまま物件を賃貸・管理し続けることになってしまいます。

このような交渉にあたっては、早い段階からどのように交渉を進めていくことが望ましいのか、法律的な見込みも含めて検討した上で対応することが肝心です。

賃借人が不適切に賃借物を利用している等の理由で、契約解除をして立ち退き、明渡しを求めるケース(悪質賃借人型)

典型的には、

  • 賃借人の方がマンション・アパートの他の賃借人に迷惑をかけるなどの問題行動が多く苦情が出ている
  • 当初の賃貸借契約とは異なる用法(たとえば、居住専用物件なのに事業用に利用して飲食店を開いている、民泊禁止物件であるのに民泊運用している、など)で利用している

などの理由で、明渡しを求めるケースです。

このようなケースでは、

  • 賃貸借契約書等の条項に違反する状況にあること
  • 契約違反行為が十分に立証できること
  • 信頼関係を破壊するレベルであること

などが必要となります。

賃貸借契約書等の条項に違反する状況にあること

言い換えると、契約書の内容が整備されている必要があります。

契約違反行為が十分に立証できること

たとえば、居住用の物件で飲食店を営んでいるような場合には、写真撮影や動画撮影などで容易に証拠を揃えることができます。違法な増改築がなされている場合なども立証は比較的容易かもしれません。
これに対し、民泊禁止物件であるのに違法民泊が行われているようなケースでは、しっかりと民泊利用されていることを説明できる資料を揃える必要があります。

信頼関係を破壊するレベルであること

用法違反が軽微な場合や実害がない場合などで、賃貸借契約の解除が認められないケースもありますので、慎重な対応が必要です。

このように、賃借人の問題行動などを理由として解除するためには、法律的な主張立証の整理や準備が不可欠です。一方で、管理会社にとっても、オーナーにとっても、悪質な賃借人とのトラブルは負担が大きいものですので、悪質な場合には、立ち退き・明渡しも選択肢となります。こちらについても、見通しや対応法も含めて早めの相談をお勧めします。

  • STEP1
    断行仮処分/
    占有移転禁止の
    仮処分
  • STEP2
    弁護士の
    代理による交渉
  • STEP3
    調停
  • STEP4
    訴訟
  • STEP5
    明度し強制執行
  • いずれの手続も必要に応じて
  • Step①と③は省略される場合があります。

報酬基準

引渡し/立退き+賃料滞納の場合

    着手金 報酬金 実費
項目 裁判所による手続きを含まない 交渉 10万円(税別) 明渡完了時:30万円(税別)
※顧問先の方:25万円(税別)
債権回収時:回収債権の20%
-
裁判所による手続きを含む 訴訟+執行
(明渡執行)
30万円(税別)
※顧問先の方:25万円(税別)
- -
即決和解 20万円(税別)
※交渉から追加の場合は10万円(税別)
明渡完了時:30万円(税別)
債権回収時:回収債権の20%
期日1万円(税別)
断行仮処分
(訴訟を含む)
40万円(税別) 40万円(税別) -
占有移転禁止
債務執行 10万円(税別) - -

正当事由の場合

    着手金 報酬金 実費
項目 裁判所による手続きを含まない 交渉 30万円(税別) 30万円(税別)

経済的利益10%
-
裁判所による手続きを含む 調停 50万円(税別) 50万円(税別)

経済的利益16%
期日2万円(税別)
訴訟 期日1万円(税別)

用法違反の場合

    着手金 報酬金 実費
項目 裁判所による手続きを含まない 交渉 30万円(税別) 30万円(税別)

経済的利益10%
-
裁判所による手続きを含む 調停 50万円(税別) 50万円(税別)

経済的利益16%
期日2万円(税別)
訴訟 期日1万円(税別)
  • 記載されている内容は、一般的な弁護士費用の基準を示したもので、事案の重大性、困難性、複雑性などを考慮したもので、実際の事案では、これと異なる弁護士費用が必要となる場合がございます。具体的には、ご相談時に、ご相談内容を確認させていただいき、個別に弁護士費用をお見積りさせていただきます。
  • 経済的利益とは、賃料回収額や立ち退きにかかる立退料を増減額した場合など、代理人活動により依頼者であるお客様に生じた利益を指します。詳しくはご相談時に弁護士にご確認ください。