よくある質問

2019.09.13

なぜ相談前に関係者の名前を教えなければならないのですか? 法律事務所の利益相反(コンフリクト)チェックとは?

当事務所では、ご相談予約の時点で、トラブルとなっている相手方や関係者などがいる場合には、その名前(会社などの法人・団体の場合はその名称)をお聞きしております。

「なぜ相談前に関係者の名前を教えなければならないの?」
「法律相談のときに弁護士に直接いうから教えたくない」

といった疑問や懸念をもたれる方も、少なからずいらっしゃいます。

なぜこのようにトラブルの相手方や関係者などの名前や名称を事前にお聞きするかというと、これは、弁護士または弁護士法人として、利益相反(コンフリクト)のチェックがないかを確認する必要があるためです。

弁護士が職務を行うときに守らなければならないルールについては、主として弁護士法や弁護士職務基本規程によって定められています。この弁護士法や弁護士職務基本規程によれば、ご相談・ご依頼の案件の相手方が、当事務所で受任中の別の案件の相談者・依頼者であるなどの場合には、ご相談・ご依頼をお引き受けすることができません。このような場合を、利益相反(コンフリクト)といいます。

典型的には、不動産会社A社とオーナーB様がトラブルになっている場合には、A社から依頼を受けた後に、同じ案件についうてB様よりご相談やご依頼を受けることができません。

A社から信頼関係に基づき事情を聞いているのに、その事情を知りながらB様にアドバイスをしてしまうと、A社の保護されるべき利益が侵害されてしまうからです。

このようなルールは、相談者・依頼者の利益を保護し、弁護士の職務の公正を維持するために、弁護士法及び弁護士職務基本規程に定められております。

このような利益相反(コンフリクト)の有無をチェックするために、当事務所では、ご相談予約の前に、ご相談者様のお名前(法人・団体の場合にはその名称)、相手方の名前・名称(場合によってその他関係者の名前・名称),ご相談の内容(概要)などを確認させていただいております。

利益相反(コンフリクト)の関係にあるかどうかは,同じ弁護士法人に所属する全ての弁護士について問題となるため,全弁護士のご相談・受任案件について、データベースに基づきチェックを行っております。

当事務所では、おかげさまで法人全体で年間に数千件のご相談を承り、また、平均して年間1000件以上の案件を依頼頂いております。そのため、利益相反(コンフリクト)によりご相談をお断りするケースは、決して頻繁にあるというわけではございませんが、法人全体では毎月一定件数がございます。

以上のとおり、ご相談前にご相談者様や相手方、関係者のお名前・名称を確認することに関しては、皆様にはお手数をおかけするところではございますが、弁護士法および弁護士職務基本規程に則り、相談者・依頼者の利益を守り、ひいては弁護士として公正に職務を全うするために必要なものですので、ご理解くださいますようお願い致します。

また、利益相反(コンフリクト)が存在する場合には、ご相談・ご依頼をお引き受けすることができませんが、上記のような弁護士法及び職務基本規程上のルールですので、こちらも併せてご理解くださいますようお願い致します。

なお、利益相反(コンフリクト)の有無にかかわらず、弁護士及び事務員は守秘義務を負い、ご相談頂いた内容が外部に漏れることはございませんので、ご安心ください。