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不動産賃貸借契約(マンスリーマンションを含む)における違約金条項|民泊・マンスリーの法律相談

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不動産賃貸借契約(マンスリーマンションを含む)において、違約金の条項が定められるケースがあります。

たとえば、明渡し予定日までに明渡が完了しなかった場合には、賃料の倍額に相当する損害金を支払う、といった内容や、マンスリーマンションなどではホテルなどのキャンセル等と同じように「○日前のキャンセルの場合には、代金の○○%に相当するキャンセル料を支払う、などです。

このような違約金についての法律的な規制はどのように考えたらよいでしょうか。

まず、大きくわけると、借主側が事業者なのか、消費者なのかにより、大きくかわります。消費者の場合には、消費者契約法のルールが適用されます。

(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)

第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。


一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分


二 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分

ちなみに、上記の消費者契約法に反する場合には、当該契約は無効です。

ですが、そのような場合であっても、無効になるかどうかは裁判所の判断によるのだから、とりあえず厳しい違約金条項を定めておこう、というケースもあるかもしれません。

ですが、これは当然のことながら適切な対応とはいえません。それどころか、大きなリスクを抱えることになります。

適格消費者団体

消費者契約法上、適格消費者団体という制度があります。(消費者契約法13条以下)この団体は、内閣総理大臣の認定を受け、差止請求関係業務を行います。

差止請求関係業務とは、「不特定かつ多数の消費者の利益のために差止請求権を行使する業務並びに当該業務の遂行に必要な消費者の被害に関する情報の収集並びに消費者の被害の防止及び救済に資する差止請求権の行使の結果に関する情報の提供に係る業務」を言います。

要するに、消費者被害を防ぐ目的で差し止め請求、情報

実際には、消費者契約法違反などの行為が認められるような会社に対し、改善の申し入れを協議したり、悪質なものについては差し止め請求などを行います。

そして、その内容は、情報提供として、各種団体のホームページなどで掲載されることがあります。

消費者契約法違反の不適切な契約条項を定めているような場合には、上記の団体から改善の申し入れが行われ、その状況がホームページなどに掲載されることになります。

当然のことながら、自社の会社名で検索したところ、適格消費者団体との間で申し入れや協議が行われている、ましてや、差し止め請求等の対象となっていることが表示されるとなれば、会社に対する信用は失われてしまうといわざるをえないでしょう。

このようなことにならないよう、コンプライアンス(法令順守)を徹底して実施していくことが必要です。

うちは上場企業でないから、とか、指摘を受けたら改善すればよい、という時代ではなくなってきています。

(差止請求権)
第十二条 適格消費者団体は、事業者、受託者等又は事業者の代理人若しくは受託者等の代理人(以下「事業者等」と総称する。)が、消費者契約の締結について勧誘をするに際し、不特定かつ多数の消費者に対して第四条第一項から第四項までに規定する行為(同条第二項に規定する行為にあっては、同項ただし書の場合に該当するものを除く。次項において同じ。)を現に行い又は行うおそれがあるときは、その事業者等に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。ただし、民法及び商法以外の他の法律の規定によれば当該行為を理由として当該消費者契約を取り消すことができないときは、この限りでない。

これに対して、事業者の場合には、事業者間の取引に消費者契約法は適用されませんので、上記のようなルールは適用されなくなります。

ですが、だからといっていくらでも違約金の定めをしてよいかというとそうではなく、あまりに社会通念に反した違約金条項を定めた場合には、当該違約金条項は、民法上の公序良俗規程に反して無効になります。

【民法】(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

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