民泊・マンスリーの法律相談

マンスリー物件を活用したイベント民泊|民泊・マンスリーの法律相談

アーティストのコンサートなどの大規模なイベントで、近隣のホテルが宿泊客で全て埋まってしまう場合があります。

そんなとき、マンスリー物件を1泊2日などでホテルと同様に宿泊施設として提供できれば、と考えられている不動産会社の方もおられるかと思います。

マンスリー物件のホテル利用を達成するために、有効な手段として考えられるのが、イベント民泊の制度を利用したマンスリー物件の活用です。

厚生労働省が発表しているイベント民泊の定義は、下記のとおりです。

イベント民泊の概要
イベント民泊とは、「i) 年数回程度(1 回当たり2~3 日程度)のイベント開催時であって、ii) 宿泊施設の不足が見込まれることにより、iii) 開催地の自治体の要請等により自宅を提供するような公共性の高いもの」について、「旅館業」に該当しないものとして取り扱い、自宅提供者において、旅館業法に基づく営業許可なく、宿泊サービスを提供することを可能とするものです。
このように、自宅提供行為がイベント民泊として認められるためには、上記の「i)」から「iii)」の要素により、自宅提供行為について公共性が認められることが必要となりますが、これらの各要素の考え方は、以下のとおりです。

(厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000171350.pdf
「イベント民泊ガイドラインの改訂について」 2019年3月11日サイトより引用)

過去に、地方でアーティストのコンサートが開催される日に、イベント民泊を実施した事例があります。

ただ、この時は一般の民泊施設をイベント民泊として利用するに留まり、マンスリー物件の活用にまでは至りませんでした。

マンスリー物件のイベント民泊の利用を目指すにあたり、問題になるのは、

  • 「自治体からの要請」などが必要で個々の会社単位で動きにくい
  • 「個人が現に居住する住居」を居住者が提供するのが原則(ただし、自治体により調整可能であるとの記載あり。)

という点です。

上記で述べたとおり、イベント民泊の概要には、「開催地の自治体の要請等により自宅を提供するような公共性の高いものについて」短期の宿泊を認める旨の記載の身にとどまっていますので、この点について自治体との協議が必要となります。

自治体との協議をするとなると、個々の会社単位で対応するのはハードルが高く、簡単には実施できないと思われます。

イベント民泊を利用しない場合、1回きりの宿泊のみで反復継続しないことから、旅館業許可は不要、という理論が成り立つ可能性は少なからずありますが、旅館業許可が必要になる4要件(有償性、社会性、反復継続、生活の本拠)を総合的に判断するという前提や、そのほかの期間をマンスリーマンションで運用(賃貸借としては反復継続)していることからすると、難しい面があります。

マンスリー物件のホテル利用を検討されている会社様には、マンスリーに詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。

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