法務問題

オーナーに知ってもらいたい滞納賃料回収・立ち退き業務の2つのポイントと解決策

コロナ禍での滞納賃料の回収と立ち退き交渉への対応とは?

新型コロナウイルスの感染流行になかなか歯止めがかからず、政府や行政による景気支援策にも打ち止めの雰囲気がみられる中、経済活動の停滞が長期化することが確実視されている状況です。

入居者の収入状況の悪化・それに伴う賃料の滞納についても、今後これまで以上に増加してくるでしょう。オーナーとしては、頭の痛い問題ですが、さらにその一部は滞納が長期化し、立ち退き交渉等を行わざるを得なくなってくる場合もあるかと思います。

このような問題について、オーナーとしてはどのように対応すべきでしょうか。今回の記事では、「滞納賃料の回収」「立ち退き交渉」2つの業務への対応のポイントと、取るべき対策について説明しようと思います。

上記2つの業務の対応を考えるにあたって、オーナーとして意識しておくべきポイントとしては、以下になります。

おさえるべき2つのポイント

管理会社が対応できる業務に限界があること

物件の管理を管理会社に委託している場合、賃料滞納が発生したときは、まずは管理会社に対応をお願いすることになるかと思います。

賃借人に対して滞納の事実を伝え、単純な支払督促を管理会社が行うこと、これ自体は問題がありません。

しかし、管理料を対価に、支払い条件の交渉や、明渡交渉を管理会社で行うことは、場合によっては非弁行為(弁護士有資格者しか行えない行為を、無資格者が行うこと)に該当し、違法となる可能性があります。

依頼費用が高額であること

滞納賃料の支払い条件の交渉・立ち退き交渉を有償で行うことが非弁行為になることは①で説明したとおりです。

そうなりますと「オーナー自身で対応する」「弁護士に交渉業務を依頼する」いずれかの手段になります。

オーナー自身で解決できるのであればそれに越したことはありませんが、手に余る場合が多く、対応することで生じる負荷も軽視できません。弁護士に交渉業務をお願いする方が色々な意味で楽になるのは間違いありませんが、その場合に問題となるのは費用面です。

例えば、滞納賃料の回収に関して、現在の一般的な弁護士事務所の価格設定としては、概ね着手金と報酬を合わせて40~50万円程度かかるところが多い印象です。立退交渉であれば、50~60万円ほどになろうかと思います。

これだけでも「思ったより高いな」と多くの方は思われるかもしれません。

しかしながら、このほか、書面提出費用(弁護士からの通知の場合は、内容証明郵便等を用いることが一般的です)等も生じますし、交渉が上手くいかず、裁判等に至った場合には、訴訟申立費用等も生じます。

何より、裁判まで至り、勝訴判決を獲得したにもかかわらず、入居者が滞納賃料分を支払わない、部屋を明け渡さないといった事態になると、強制執行(差押え)といった手段に出ざるを得ませんが、この費用(執行官への手数料・引っ越し費用等)もばかになりません。

明渡し完了までに総額100万円以上要した、なんて話もざらにあります。

取るべき対策とは?

このように「滞納賃料の回収」「立ち退き交渉」には想定外の費用を必要とします。なぜこんなに高いのか、という疑問は当然出てくるところとは思いますが、費用としてこれくらいかかり得る、というのもまた現実です。

このことを踏まえ、オーナーとしてこれらの問題にどう対応すべきか、というお話ですが、結論としては「保証会社を利用する」ということが一番ではないかと思います。

保証会社は、滞納賃料の保証はもちろん、回収に要する弁護士費用も保証してくれるところが多いです。

もちろん、手数料は発生しますが、滞納賃料により生じるリスクと、その解決に要する費用を踏まえると、万一に備えて利用するのが最善の策といえそうです。

既に契約済みの物件で滞納が発生した場合等、保証会社でカバーしきれないものに関しては、オーナー自身で対応せざるを得ませんが、オーナー名義(もしくは、管理会社名義)での支払督促では、その効果が薄い場合もあります。

このような場合には、弁護士名義で督促状を送ることが効果的な場合もあります(督促状の送付のみであれば、費用面でもそれほど高額になる可能性は低いです)。このような手段があるということも知っておいて損はないでしょう。

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 本記事は2020年9月執筆時での法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。
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