不動産会社向け顧問弁護士

不動産管理業にとってGDPRは関係あるのか?

2018年5月25日、ついに一般データ保護規則(GDPR:General Data Protection Regulation)が施行されました。 

国内の中小企業では関係がないと思っている企業も少なくないと思われますが、一部の顧問先会社様からはすでにいくつかご相談を頂いている状況です。 

一番多いご相談内容としては、「当社には関係ないですよね?」というものです。

ここで関係ないです、と言い切れればいいのですが、最近のインバウンド不動産需要などを考えると、不動産管理業としても関係ないとは言い切れません。 

この質問に対する回答としては、純粋に国内のみをマーケットとしているのであれば関係ないかもしれませんが、それを超えて、例えば、一般賃貸物件はもちろん、マンスリーマンションや旅館業法、住宅宿泊事業法の物件で、ヨーロッパの顧客・宿泊客をターゲットにしているような場合には、GDPR対応について、少なくとも慎重に対応を検討しなければならないと考えられます。 

ヨーロッパ国内の顧客を対象としてホームページを作成し、積極的に集客を図っているような場合には、当然ながらEEA内の宿泊者などの情報を取得し処理することになるでしょうから、十分に適用対象となる可能性があるからです。 

この記事を作成している2018年5月27日現在では、ヨーロッパからアメリカの一部ニュースサイトの閲覧ができなくなった、といった複数の報道がされています。

理由は、ポップアップで新しい利用規約に同意を求めることが「同意の強制」に該当するとの不服が申し立てられたから、だそうです。 

日本国内企業で直ちにこのような不服申立てにより閲覧不能になるかどうかは別として、今後、日本の不動産市場がインバウンド需要を見込んでいこうと考え、ヨーロッパ顧客のマーケットを狙おうと考えると、GDPRを抜きにして考えることは難しい思われます。 

先日、ベルリンに視察に行った際、GDPR絡みの講演を聞きました。

その雰囲気からすると、ヨーロッパでの情報保護に対する権利意識は強く、適切にGDPRに対応している企業であることを明らかにして、ヨーロッパのマーケットを攻めて行った方が健全と思われたほどです。 

では、適用対象となりうるとして、どのように対応していくか、というのが次の問題となります。

現実問題として、中小企業が自社のみでGDPRに対応して行くには、なかなかハードルが高いというのが実情と思われます。 

我々としては、不動産管理業を営む会社が、引き続き「各個人が個人データをコントロールする権利」を明確に規定したこの新しい法律について、どのように対応していく必要があるのか、情報提供していきたいと思います。 


 本記事は2019年6月執筆時での法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。
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