特集

遺品整理・特殊清掃に関連する制度の紹介と弁護士の活用

~遺品整理・特殊清掃に関連する制度の紹介と弁護士の活用~

はじめに

遺品整理・特殊清掃業は現在注目を集めており、その活用のため官民問わず、様々な制度・サービスが提供され始めています。お客様にこれらのようなサービスを利用してもらうことによって、クレームの減少にも繋がります(主に費用面に関して)。

また、クレーム対応に関しては、全てを自社で行うことがかえって負荷がかかり過ぎる場合が往々にしてありますので、その場合は一部業務につき外注することによって、より効率的な対応を行うことができます。

そこで、今回は、遺品整理・特殊清掃業にまつわるサービスの紹介と、クレーム対応における弁護士の活用方法につき説明していきます。

遺品整理・特殊清掃に関する制度・サービス

 ※今回紹介したものの他にも、各自治体、企業等が様々なサービスを実施しております(今回紹介するのはその一部です)。

中野区あんしんすまいパック(東京都中野区)

初回登録料と月々一定額の支払いで以下のサービスを実施

① 見守りサービス
② 利用者死亡の場合の葬儀の手配、葬儀費用の補償
③ 原状回復費用・遺品整理費用の補償
(葬儀費用と合わせて100万円が上限)

※利用者は中野区在住(予定者含む)の単身者に限定
※登録料に関しては助成あり

 【詳細に関しては、中野区HPをご参照ください】

https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/505700/d026714.html

少額短期保険サービス

民間の保険会社のうちの数社が、賃貸物件のオーナー向けに、賃貸物件内で賃借人等が死亡した場合において、遺品整理・特殊清掃の費用を負担する旨の少額短期保険を販売しています。

内容については各社により様々であるが、概ね1個室あたり月々数百円程度の保険料の支払いで、以下のような内容を提供しています。

① 事故後の原状回復費用(特殊清掃費用)の補償
② 事故後の空室、値下げの家賃保証
③ 見舞金の支払い(少額・数万円程度)

【「孤独死」「保険」等のワードで調べると各社の商品に検索できますので、ぜひ一度検索してみてください。】

足立区生活環境の保全に関する条例(足立区)

※通称「足立区モデル」

■ いわゆる「ゴミ屋敷」改善のため、行政が条例を制定。
■ ゴミ屋敷の住人に対し、指導・勧告を行い、それでも改善がみられない場合は、区がゴミ処理の撤去費用を負担。
■ 従前放置されがちであったゴミ屋敷問題の解決手法として期待が集まっている。

→ゴミ屋敷の住民は孤独死している可能性もあり、特殊清掃・遺品整理業務発生の契機になり得ます。

【詳細に関しては、足立区HPをご参照ください】

 (https://www.city.adachi.tokyo.jp/kankyo-hozen/241024.html

クレーム対応における弁護士の活用方法

現在、規模の大小にかかわらず、クレーム対応が必要であるという点につきましては、以前の記事でも説明しました(「遺品整理・特殊清掃におけるクレーム対応その1」 )。

しかし、クレーム対応については書面作成・整備をはじめとした事前準備も含め、大きな手間を要するというのが正直なところです。

そこで、一つの手段として、クレーム対応を外注するということが考えられます。ここでは、「クレーム対応における弁護士の活用方法」について説明していきます。

弁護士にクレーム対応を任せるメリットとしては、主に以下の5つが挙げられます。

① 法律を武器にした主張が可能

クレーマーに対して「回答義務がない」といったような対応を相応の根拠をもって主張できます。

② 弁護士が対応することで引くクレーマーが一定程度存在する

難癖をつけたいだけのクレーマーは弁護士が介入すると引き下がる可能性が高いです。

③ 金銭的な問題の場合等に、紛争の落としどころを見つけやすい

弁護士は交渉業務を生業としています。したがって、交渉の際には和解につなげやすいです。

④ 万が一の法的措置が必要な場合に、スムーズな対応が可能

訴訟等になった場合はもちろん、名誉棄損や業務妨害行為がなされた場合の告訴状の作成、ネットの書き込みの削除要請等は、弁護士の専門分野といえます。

⑤ 現場のクレーム対応に関して法的なチェック・アドバイスが可能

現場で実際にクレームに対応すると、後々法的に問題となりそうなものも往々にして行いがちです。弁護士がクレーム対応に関与することで、「法的な争いになってしまった場合に問題になりにくい」対応について適宜アドバイスする事も可能です。

「クレーム対応なんて法律がそれほど関与するとも思えないし、弁護士をわざわざ介入させる必要はないのでは」と考える方もいらっしゃるかと思いますが、以上の様に弁護士をクレーム対応に関与させることには多くのメリットがあります。

そして、弁護士がクレーム対応を代行することで、従業員がクレーム対応に割く時間が減少し、その時間を本来の業務に充てることで収益アップにも繋がるだけでなく、従業員の精神的な負担も大幅に減少します。

これらのメリットは、実際に利用してみるとより実感できるかと思われますので、クレーム対応及びその対策にお悩みの方は、一度「弁護士を使う」ということも候補に入れていただければと思います。


特集カテゴリの最新記事