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賃貸借を巡るトラブル〜サブリースの問題|不動産売買・賃貸借の法律相談

サブリースを巡るトラブルは典型的なものです。

サブリースとは、転貸借のことです。典型的なものとしては、オーナーさんが不動産管理会社に賃貸し、不動産管理会社が一般の居住者などに転貸する方式です。

オーナー→管理会社→入居者・居住者という流れです。オーナーと管理会社との賃貸借契約をマスターリース契約、管理会社から入居者への転貸をサブリース契約と呼びます。

典型的には、管理会社がオーナーから一定の家賃で借り上げて、管理会社がそのノウハウにより入居者を募ります。オーナーは直接、入居者と賃貸借契約を結ぶ必要がなく、任せておけばよいということになります。

このサブリースですが、トラブルが少なくありません。

最近、報道等でもなされているように、地主さんに相続税対策等の理由でアパート建築を進めて、その際に、管理会社で不動産を一括で借り上げ、家賃保証するから収益は間違いなく大丈夫だ、ということで提案し、それを信頼して契約を締結したものの、実際には、途中で賃料を減額していく話になったり、物件が老朽化してくると一括借り上げを辞めるという話が出てきて、「話が違う」などとトラブルになるケースがあります。

消費者庁ホームページでも、「サブリース契約に関するトラブルにご注意ください!」として以下のとおり、注意喚起がなされています。

<アパート等のサブリース契約を検討されている方へ>

サブリース契約は、サブリース業者がアパート等の賃貸住宅をオーナーから一括して借り上げるため、一定の賃料収入が見込めることや、管理の手間がかからないことなど、オーナーにとってのメリットがある一方で、近年、賃料減額をめぐるトラブルなどが発生しています。
サブリース契約をする場合は、契約の相手方から説明を受け、契約内容や賃料減額などのリスクを十分理解してから契約してください。

(消費者庁HP「サブリース契約に関するトラブルにご注意ください!」、https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_011/

、2019年3月8日引用)

確かに、地主さんとしてはアパート建設で相続税対策ができ、なおかつ、立派なアパートのオーナーとなり、さらに、リスクなく定額で収入が入ってくるとなればメリットも少なくありません。

最近では、サブリースに対してデメリットの報道もなされていますが、本来、サブリースという仕組み自体は決してデメリットばかりではなく、メリットも少なくありません。サブリースという仕組み自体に問題があるのではなく、個々の会社の対応に差があるのです。

信頼できる不動産会社とのサブリース契約であればメリットは少なくありません。

トラブルを避けるための必要なことは?

トラブルを避けるために必要なことは何か?というと、一つには契約書の内容についてリーガルチェックを経て、その内容を確認することが必要です。

契約締結や提案を求められた段階で、提案書の内容や営業担当者の話をよく確認することもそうですが、本当に契約書関係が、提案書の内容と合致しているのか、営業担当者の説明している内容と合致しているのかを、よく確認していく必要があります。

なぜなら、後になって話が違うといったときに、まず問題となるのはどのような条件で契約を結んだのか、という点であり、その条件が記載されているのは「契約書」だからです。

いくら「あのとき担当者はこう説明していたはずだ」という話をしても、実際にその証拠がない限りには、担当者が変わってしまっていたり、担当者の記憶がなかったり、想定したくないことではありますが、担当者が実際には十分な説明をしていないにもかかわらず、説明をしたと事実に反するようなことを告げれば、録音でも無い限り、事実はどうしても曖昧になってしまうからです。

ですので、最低限、説明を受けて理解している条件が正しく契約書に記載されているのか、しっかりと契約書をチェックしていく必要があると思います。

典型的に確認が必要な事項は以下の点です。

  • 契約書の内容によっては、物件について賃借人からの指示に応じて必要な補修をしなければならないような義務がある条項(老朽化すると新しい入居者が入らないことから、「義務的に」補修しなければならない条項があるケースがあります)
  • 賃料等の見直しに関する条項(賃料が変更される可能性がある条項について、どのような規程がなされているのか、ここが営業担当者の説明と違っているケースもあります。)
  • 不動産会社側からの解約する場合のルールがどのように設定されているのか。などは特に重点的に確認する必要があります。このあたりは、金融庁・消費者庁・国土交通省が連名の平成30年11月作成「アパート等のサブリース契約で特に覚えておきたいポイント例」でも注意喚起されており、参考になると思われます。

相談の事例の中にも、相当長期(○○年間)にわたって一括払いにより賃料が固定で支払われるという説明であり、なおかつ、絶対に減額することはない、という説明であったにもかかわらず、契約書上には経済情勢の変化等により賃料が増減した場合に賃料が変わる旨が記載されていた、というようなケースも実際にあります。

賃貸借問題~サブリースの2点の問題があります。

一つは、消費者契約法の保護が及ばない(と解釈されている)件です。

たとえば、オーナーさんがアパートの建築契約をしたものの、相手方の会社さんの態度に不信感を持ったり、実際に様々な話を聞くと評判の悪い会社だと知って契約を解除しようとします。

そうすると、契約上に高額な違約金規程(解除する場合には数百万円支払え)といった条項があり、違約金を請求されてしまうというケースです。

こちら消費者契約法が適用される場合には、消費者契約法9条1項という規程があり、違約金の損害額の制限があります。

(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)

第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。

一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分

 たとえば、解約したら1000万円の違約金を支払わなければならない、という記載が契約書にあったとしても、契約した直後で実際には解約されたからといって直接の実害が生じるわけでもないのに、上記の違約金を請求するような場合には、「当該事業者に生ずべき平均的な損害」が存在しないため、上記の違約金規程は上記法律に違反して無効となります。

 このように、消費者契約法が適用される場合には、実際には生じる平均的な損害を超えて違約金を請求できないというルールが適用されますので、違約金の額は合理的な範囲に留まります。

 これに対して、消費者契約法が適用されない場合には、上記の法律が適用されないため、よほど法外が違約金が規定されていて公序良俗(民法90条)に違反するような場合を除いて、適法となります。約束を守らなければ実害がなくても違約金と請求するということが許容されるわけです。

 このほかにも消費者契約法には、消費者保護のための様々な規程が定められており、こちらが適用されるかどうかにより、オーナーが保護されるかどうか、どのように守ることができるかが大きく異なります。

 以上のとおり、消費者契約法が適用されるのかどうか、という点は非常に重要な問題です。

 では、サブリース契約を締結した場合に、オーナーさんである賃貸人と不動産会社との間で消費者契約法は適用されるのでしょうか。

 (定義)

第2条 この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために 契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。 

2 この法律(第43条第2項第2号を除く。)において「事業者」とは、法人その 他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個 人をいう。

3 この法律において「消費者契約」とは、消費者と事業者との間で締結される 契約をいう。

「事業として」と「事業のために」 

「事業として」とは、同種の行為を反復継続して行うことをいう。角田禮次郎ほ か共編『法令用語辞典〔第 10 次改訂版〕』(学陽書房、2016)によれば、「業とする」 とは、「一定の行為の反復的継続的遂行が『業』としてされたかどうかについて判定に困難な場合が少なくないが、結局、社会通念上それが事業の遂行とみられる程度の社会的地位を形成するかどうかによって決定するほかはない」とされている。「事業として」については、ある期間継続する意図をもって行われたものであれば、最初の行為も事業として行われたものと解されるし、事業規模や形態の如何は問わない。「事業のために」とは、事業の用に供するために行うものが該当する。

(消費者庁HP、https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/consumer_contract_act/annotations/pdf/annotation_171208_0003.pdf

、2019年3月8日引用)

ここはサブリース契約について、適用されるかどうかを断定的に判断することは難しそうです。

消費者契約法は、当事者(賃貸人・賃借人)の一人が消費者であるときに適用されます。基本的に、不動産会社側は事業で行っているので消費者には該当しません。あとは、オーナー側が消費者に該当するかどうか、です。

複数の物件を運用して、不動産から収益を上げているようなケースであれば、通常は、事業者と考えられます。

この場合には、消費者契約法の適用は可能性が低いと思われます。初めて賃貸業を行う場合や、単発の取引のみを予定している場合には、消費者契約方が適用される余地があると思われます。

ですが、こちらについても明確に適用されると断言してよいレベルではなく、裁判などでは争点の一つとして争われる可能性が十分にあるものと思われます。

適用されるかされないかがはっきりしたないというだけで、ハードルが一つあがっているイメージです。

(アパート等のサブリース契約を検討されている方は、契約後のトラブルにご注意ください)

※オーナーが同種の行為を反復継続的に行っていない場合には、サブリース契約は消費者契約法第2条第3項に規定する消費者契約に該当する場合があり、その際には同法の適用を受ける可能性があります。

(平成30年3月27日公表、金融庁・消費者庁・国土交通省・「アパート等のサブリース契約で特に覚えておきたい ポイント例」https://www.fsa.go.jp/news/30/ginkou/20181026/kouhyou03.pdf

、2019年3月8日引用)

もう一つは、マスターリース契約にも借地借家法の適用がある、という点です。

たとえば、こんなケースで問題となります。

オーナーさんは、ある不動産会社に物件を一括借り上げしてもらっていた。賃貸借契約の期間(マスターリース契約の契約期間)は、2年契約である。ところが、賃料や補修を巡る意見の相違や担当者の対応などに不信感を持ち、会社を変更したいと考えるようになった。

ところが、2年満期で解約を申し入れようとしたが、不動産会社からは拒否された。契約期間である2年がたったところで解約するのに、解約できないのでしょうか。

結論からすると、このようなケースでも、会社側の承諾が得られない場合には、解約は難しいことが通常です。

理由は、借地借家法の適用があるからです。

この借地借家法は、もともとアパート等の賃借人は、賃貸人に比べ経済的にも立場が弱い借家人や借地人を保護するために、民法の規定を修正した法律といわれています。

要するに、普通の入居者さんが、オーナーの都合で「出て行ってくれ」と言われて出ていかなければならないとすると、生活の場などを失ってしまうために、「正当な事由」がなければ解約申し入れができないとしたものが、この借地借家法の28条といえると思います。

なんとなくイメージ的には、家主さんが強い時代、貸し手有利という時代からの法律という感じです。

さて、繰り返しになりますが、こちらの法律は、借家の貸し手が有利であり、借主が立場的に弱いということが一つの前提となっている法律です。

一方的に、貸主が契約期間満了を理由として借主が居住する場所などを失うと困るからというものです。

では、この借地借家法28条が、オーナーと不動産管理会社との賃貸借契約(マスターリース契約)にも適用されるか、という問題があります。

つまり、本来、法律が予定していた関係では、簡単にいえば、貸主が強く、借主が弱いという関係が前提です。

そうであれば、一括借り上げなどのサブリース契約の場合には、地主の貸主さんなどは不動産の専門的な知識が必ずしもなく、不動産会社の営業の方に話をされてアパートを建ててみようか、というレベルだったりします。

一方、不動産会社の方は、もちろん不動産の専門的な知識を持っているし、むしろ大手の会社さんなどはオーナーを圧倒する経済力・資金力もあり、そして、転貸ビジネスのための契約をしているのですから、不動産会社それ自体が生活の場を失うわけではありません。

このように考えると、借地借家法を適用すべきではない、という議論もあったようですが、現在では、適用するという方向性が優勢かと思われます。

借地借家法の適用があることを前提に、借地借家法32条の適用があるとしたものがあります。

前記確定事実によれば、本件契約における合意の内容は、第1審原告が第

1審被告に対して本件賃貸部分を使用収益させ、第1審被告が第1審原告に対してその対価として賃料を支払うというものであり、本件契約は、建物の賃貸借契約であることが明らかであるから、【要旨1】本件契約には、借地借家法が適用され、同法32条の規定も適用されるものというべきである。

(平成15年10月21日 最高裁判所第三小法廷判決、裁判所ホームページの判例検索より、2019年3月8日引用)

この最高裁判例は借地借家法32条に関するものですが、サブリース契約について借地借家法を適用しています。

また、現行法の借地借家法28条に相当する旧借家法1条の2に関しても、東京地方裁判所平成24年1月20日判決などで適用が是認されています。

そのほか、最近では、民泊関係のサブリーストラブルも少なくありません。

数年前は、airbnbなどのサイトを通じて住宅宿泊事業法や旅館業法、特区民泊などに基づかなくても、民泊事業を進めることが事実上できていました。

「事実上」というのは、法律上は旅館業法違反であるものの、幅広く行われていた、という意味です。

2018年6月 日の住宅宿泊事業法の施行に伴い、それまで旅館業法違反でありながらairbnbなどのサイトを通じて運用が可能であった民泊物件が、運用できなくなりました。

その結果、民泊運用できることを前提としたサブリース物件などで、実際には運用ができなくなり、どう解約して法律的に整理していくかという問題が生じてきました。

このような問題も、契約書の内容がどのようなものか、説明がどのような説明であったか、などの法律関係を整理して契約関係を整理していく必要があります。

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