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民法上の成人年齢の引き下げが不動産実務に与える影響

これまで民法上、成人の年齢は、民法4条により20歳と規定されていたが、これを18歳に引き下げる法案が、2018年5月29日、衆議院で可決され、参議院に送られました。 

順調に進めば、2022年4月に施行することが目標とされているようです。

【改正前民法】 

第四条 年齢二十歳をもって、成年とする。 

改正後民法】 

第四条 年齢十八歳をもって、成年とする。 

この民法改正案が施行された場合の不動産実務への影響としては、高校卒業したての18歳が、賃貸マンションを借りるシーンなどが想定されます。 

賃貸借契約などの「法律行為」を行う場合には、未成年者の場合は、その法定代理人(通常は親)の同意を得なければなりません(民法5条)。

なので、本来であれば、例えば高校を卒業してすぐ大学に入る学生が、賃貸マンションなどの契約を結ぶ際、学生名義で契約を締結するのであれば、親(両親)の同意を得た上で契約を行う必要があります。 

これが、今回の法改正が成立・施行されることにより、満18歳であれば賃貸借契約を締結する際に、親の同意は不要になります。ですので、これまでは18歳が、親の同意なく契約を締結した際は、親の同意が必要なので、その同意がなければ、後ほどその契約を取り消すことができたのですが、今後は、原則、取り消すことができない有効な契約であるということになります。

実際のところとしては、学生の場合などは特に、契約により権利義務の効果を及ばせるのは、実際に居住する子どもよりも、その親の方が適切な場合も多く、親を契約者とした方がよい場合もあるでしょう。

以上のとおりですが、法施行までには少し時間があります。不動産管理会社としては、これを機会に、賃借人との賃貸借契約締結のスキームについて、再度、賃貸借契約の名義人について法律的な意味を確認して、業務フローを検討してみてもよいかもしれません。 


 本記事は2019年6月執筆時での法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。
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