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2022.05.10
コラム

【不動産取引における電子契約解禁間近!】不動産業者が今知っておくべき法改正|借地借家法

不動産取引契約の完全オンライン化が2022年5月18日に解禁されます。

昨年5月に成立をした「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」において、押印・書面交付が規定されている121の法令が一括で改正されることとなり、不動産業に関連する宅地建物取引業法なども改正されるためです。

不動産業に関係する法改正を予定している主な法律

・民法
宅地建物取引業法
借地借家法
・マンション管理の適正化の推進に関する法律
・不動産の鑑定評価に関する法律
・マンション建替え等の円滑化に関する法律

前回の宅地建物取引業法の法改正のポイントに引き続き、借地借家法の法改正のポイントを解説いたします。

借地借家法改正×電子契約のポイント

【point1】一般定期借地権の特約の電子契約O K

現行法では、存続期間を50年以上とする一般定期借地権を設定する場合は、以下の3つの特約を定め、公正証書などによる書面で記録する必要があります(第22条)。

①契約の更新の延長なし

②建物の築造による存続期間の延長なし

③建物の買取りの請求なし

新法では、上記の特約を電子契約で行うことが認められ、書面によって行われたとみなされます(新法22条2項)。ここで注意が必要なのが、「一般定期借地」のみが電子契約の対象となります。

「事業用定期借地」は依然として公正証書が必要です(第23条3項)。

改正後の借地借家法(第22条)

(定期借地権)
第22条
1 存続期間を五十年以上として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第一項において同じ。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。
この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。

2 前項前段の特約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。
第三十八条第二項及び第三十九条第三項において同じ。)によってされたときは、その特約は、書面によってされたものとみなして、前項後段の規定を適用する。

【point2】定期建物賃貸借契約の電子契約OK・電磁的方法による書面交付O K

期間の定めのある建物の賃貸借契約を行う場合、主に公正証書の書面によって行う必要があります(第38条1項)。

加えて、建物の賃貸人は、賃借人に対してその旨を記載した書面を交付して説明をしなければなりません(第38条2項)。

新法では、期間の定めのある建物の賃貸借契約を電子契約で行うことが認められ(新法第38条2項)、建物の賃貸人は賃借人に対して電磁的方法でその旨が記載された記録を提供することが可能となります(新法第38条第4項)。

ただし、電磁的記録の提供は、事前に賃借人の承諾が得られた場合のみとなります。

賃借人が書面での交付を希望した場合は、希望通りに書面で発行する必要があります。

改正後の借地借家法(第38条)

(書面の交付)
第38条
1 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。
この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。

2 前項の規定による建物の賃貸借の契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その契約は、書面によってされたものとみなして、同項の規定を適用する。

3 第一項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。

4 建物の賃貸人は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、建物の賃借人の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものをいう。)により提供することができる。
この場合において、当該建物の賃貸人は、当該書面を交付したものとみなす。
5〜9(略)

【point3】取り壊し予定の建物における賃貸借契約の電子契約O K

賃貸借する建物が、一定期間後に取り壊すべきことが明らかな場合は、建物を取り壊すこととなる時点で賃貸借契約が終了することを定めることができます(第39条1項)。

その場合、その旨を記載した書面によって賃貸借契約を行わなければなりません(第39条2項)。

新法では、そのような契約を電子契約で行うことが認められます(新法第39条3項)。

改正後の借地借家法(39条)

(取り壊し予定の建物の賃貸借)
第39条
1 法令又は契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合において、建物の賃貸借をするときは、第三十条の規定にかかわらず、建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する旨を定めることができる。

2 前項の特約は、同項の建物を取り壊すべき事由を記載した書面によってしなければならない。

3 第一項の特約がその内容及び前項に規定する事由を記録した電磁的記録によってされたときは、その特約は、同項の書面によってされたものとみなして、同項の規定を適用する。

改正前に不動産業者が行うべきことは?

前述のとおり、法改正におけるポイントについて解説を行いましたが、不動産業者が電子契約を実務で活用するためには事前準備が必要になります。

一新総合法律事務所では、不動産業者のための電子契約導入実践の無料セミナーを開催いたします。

セミナーでは、弁護士 大橋良二による「より実務に沿った法改正の解説」、システム会社から「電子契約導入に向けて準備すべきこと」、コンサルタントから「電子契約ツールの効率的な活用方法について」をお伝えし、電子契約の実践に向けて準備すべき項目が全て学べる、フルパッケージの内容となっています。

電子契約実践のための導入に至れていない、電子契約への不安が拭えない不動産業者の方々はぜひご参加ください。

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