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一新総合法律事務所 東京事務所
東京弁護士会所属
不動産会社を中心に、不動産オーナー、不動産に関連するサービスを提供する企業のトラブル/法律相談を対応しています。年間1,100件以上(2023年実績)の不動産に関する相談を扱ってきた実績から、不動産分野の各種法律相談や契約書作成等幅広く対応が可能です。
本稿では前回に引き続き、賃貸人の立場から賃貸借契約に設けた方が良いと思われる条項につき説明したいと思います。
まずは、下記のように貸主に一部の免責を認める条項が考えられます。
第●条
下記の事項については乙がみずから対処するものとし、万一、乙に損害が発生しても甲はその賠償責任を負いません。
①本物件の周辺道路での路上駐車による被害
②積雪の場合における本物件、敷地内、駐車場、道路の除雪
③狸・ネズミ等の動物、カラス等の鳥類、毛虫・蜂等の昆虫類、ゴキブリ、ダニ等の害虫駆除及び被害対策
④本物件内で発生した空巣・盗難等による被害
⑤建物の構造上の問題以外で発生した近隣住民とのトラブル
⑥結露・カビによって乙の家財道具に被害が発生した場合
上記の規定を定めることにより、貸主側の責任を大きく軽減させることができます。
一方で、貸主の責任を全部免除するような条項は消費者契約法により無効となります。
(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
第八条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
また、上記の条項でも、借主の利益を一方的に害するものと判断されるもの(消費者が有する解除権の行使を制限する契約条項など)は無効と判断される可能性もありますが、条項として定めておくことで借主に適切な使用方法を促す効果はあると思われます。
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
他にも、以下のような入居に関する細則を定めておくことも考えられます。
・居室内にゴミを大量に集積する等不衛生な使用をしないこと
・夜間の掃除機、洗濯機の音で周囲に迷惑をかけないこと
・知人、友人を呼んで大声で騒がないこと
これらの規定も上記と同様に借主の迷惑行為等を防止するために定めておくと有効と思われます。
建物の貸主は、原則として消費者契約法の「事業者」にあたるため、個人に建物を貸す際には借主に一方的に不利となる条項は無効と判断されるリスクはあります(借主も事業者である場合などはこの限りではありません)。
しかし、借主の迷惑行為や住民同士のトラブルを防止するために、貸主の免責条項や、借主の迷惑行為の禁止等の条項を定めることは有効であると思われます。
もしトラブルが発生した場合には不動産に注力する弁護士に相談されることをお勧めいたします。
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