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2024.08.29
2024.09.04
コラム

賃貸借契約に設けるべき原状回復費用の負担範囲はどこまで?

コラム監修者

一新総合法律事務所 東京事務所

東京弁護士会所属

不動産会社を中心に、不動産オーナー、不動産に関連するサービスを提供する企業のトラブル/法律相談を対応しています。年間1,100件以上(2023年実績)の不動産に関する相談を扱ってきた実績から、不動産分野の各種法律相談や契約書作成等幅広く対応が可能です。

原則として原状回復費用は入居者が負担

賃貸借契約において、借主が部屋から退去する際、部屋を借りた後に生じた損傷について原状に回復する義務を負うことになります。但し、通常の使用等によって生じた部屋の損耗や経年劣化(以下「通常損耗等」といいます。)は除くとされています(民法621条)。

したがって、原則として入居者が原状回復費用を負担することになりますが、貸主と入居者の負担割合がどのようになるかにつき、通常損耗等の範囲が問題となります。

通常損耗等は入居者負担だが、経年劣化の場合は?

建物の原状回復費用を貸主、借主のいずれが負担するべきかについては国土交通省が発行する「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基本的な考え方が定められています。

原則として、入居者の故意・過失による損耗が入居者の負担の対象となりますが、ガイドラインではさらに経年劣化という考え方が採用されており、入居者の故意・過失による損耗であっても、各設備の耐用年数によって、入居者の負担割合は軽減されることになります(同時に貸主の負担が増えることになります。)。

通常損耗の特約が有効となる要件は?

一方で、一定の要件のもと、特約により上記のガイドラインの考え方を修正することもできます。例えば、裁判例で示された特約が有効となる要件は以下のとおりです(大津地方裁判所平成16年2月24日判決)。

① 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること

② 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて

認識していること

③ 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること

上記のように、原状回復費用について特約を設ける際には、入居者へ事前に通常の原状回復費用の負担や、それを超えて負担することなどにつき理解を得るため、契約書等で特約を明確に定めておくことが 、退去時の原状回復費用の負担につきトラブルを防ぐ最善の方法となります。

原状回復費用の負担で困ったら、不動産に注力する弁護士へ

原状回復費用の負担については、オーナー及び入居者の両方からクレームを受けやすいものになります。原状回復費用でトラブルになった際には不動産に注力する弁護士にご相談されることをお勧めいたします。