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2023.04.19
2023.07.19
コラム

【国が立ち入り検査!?】賃貸管理会社が今すぐに確認すべきこと

コラム著者

弁護士  栃原 遼太朗

東京事務所所属

不動産・建築紛争の取り扱いに注力。不動産管理業向け法改正セミナーなど、数多くのセミナー講師を担当。

【講師履歴】株式会社Century21・Japan様主催 「改正個人情報保護法改正セミナー」/弊所主催 「入居者トラブル対応セミナー」 etc.

              

はじめに

2021年6月に施行され、もうすぐ2年が経過しようとしている賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下「賃貸住宅管理業法」)ですが、その存在及び規制の概要については、管理会社・サブリース業者の皆様方としてもある程度認知されていると思います。

一方で、これまでは「実際にどの程度法規制が遵守されているのか」という点についての具体的な調査等はなく、あくまで各業者の運用に任されている状態が続いていました。

ただ、2023年に入り、この点について行政側に動きがありました。

今回のコラムでは、この動きについて説明するとともに、今後、各事業者として何を注意すべきか、という点について解説します。

行政側による法遵守状況の調査

業界紙の記事[1]によると、2023年の1月2月の2ヶ月間に、国土交通省が全国の賃貸住宅管理業者及びサブリース会社に対し、賃貸住宅管理業法の各社における遵守状況の確認を目的とした立ち入り調査が実施されました。


[1] 全国賃貸住宅新聞〈電子版〉2023年4月7日付け記事「国が管理会社に立入検査」

調査結果については、実施状況の詳細(実施件数や実施先の会社の事業構成等)を含め、現在集計中であり、正式な発表はゴールデンウィーク明けの予定ですが、調査対象となった会社のコメント等から、調査の実施状況についてはある程度明らかとなっています。

まず、立ち入り調査については、あくまで任意のものであり、賃貸住宅管理業法上規定された調査権限に基づく調査(賃貸住宅管理業法36条1項)ではありません。

そのため、対象となった会社には事前通知の上、会社の営業時間内にて実施されたようです。

調査に際しては、国土交通省所管の地方整備局員らが立ち入る形で実施されました。

一例として、主に以下の3点を中心に調査が実施されたようです。調査(検査)時間は合計2時間程度であり、一部時間帯においては、対象会社のスタッフを全員退出させ、立入検査を実施した地方整備局員のみで点検が実施する形で進められました。

①金銭管理状況

通帳と帳簿を突き合わせて実際に数値を確認し、読み上げる形でチェックが行われました。

②サブリース事業関連

サブリース事業については、契約数の推移を口頭で確認する形でチェックがなされました。ただ、対象会社はサブリース戸数が管理事業全体に比して少なかったこともあり、詳細な点検はなされなかったようです。

③重要事項説明書(重説)と管理受託契約書の交付の実施状況

書面の交付状況については、実物で確認が行われました。両書面の交付日が一定の期間を空けてなされていたか否か、という点もチェックがなされたようです。

検査を実施した地方整備局員から対象会社に対して、賃貸住宅管理業法上の各規定と実際の運用の抵触の有無に加え、推奨される運用がなされていない場合には、その旨についても指摘・注意等がなされました。

各業者として取るべき対応

ここまで説明した通り、今回、賃貸住宅管理業法の規制官庁である国土交通省が正式に、法律の遵守状況について全国一斉での大規模調査を実施しました。

あくまで任意かつ事前通告による実施ということもあり、当該調査の目的は「違法行為の摘発」よりは「遵守状況の確認」であることは間違いないといえます。

今回主たる検査事項と考えられる上記3点のうち、金銭管理及び書面交付に関する点については、いずれも賃貸住宅管理業法上事業者に対し一定の義務が課されているものとなります(金銭管理につき、同法16条、18条。書面交付につき、同法13、14条等)。

以上については、賃貸住宅管理業法上事業者に課された義務の中でも、特にその遵守状況につき国土交通省として強い関心を有しているものである、といえるでしょう。

また、同じく調査対象であったサブリース事業については、法律の制定までに社会問題となった、サブリース事業への懸念(オーナーに対する説明不足とそれに伴い事後的に生じるトラブル)が社会問題化したことが、賃貸住宅管理業法制定に繋がった、という経緯もあり、やはり国土交通省として施行後の今もなお、法規制の遵守状況について関心が高いものであると考えられます。

今回の調査はあくまで観測気球としての意味合いが強いところですが、集計の結果、特定の法規制の遵守状況が低い、といった調査内容になりますと、その状況の是正のため、強制力の伴った調査権を行使する事態等も十分に想定されます。

いずれにせよ、今回、国土交通省がこのような大々的な調査を実施したことにより、各事業者に対し(形式的なものに留まらない)規制の趣旨に則った法規制の遵守を求めていく傾向は間違い無いといえるでしょう。 

法施行から2年が経ち、実務上の運用もある程度固まってきつつあります。また、今年の3月31日付けで、国土交通省が作成している賃貸住宅管理業法の解釈に関する資料(解釈・運用の考え方、制度概要ハンドブック)も改正されています。

賃貸住宅管理・サブリース事業に携わる事業者の皆様方には「いつ調査がなされてもおかしくない」という前提の下、改めて法律・規則等に則った事業の遂行がなされているのか、今一度ご確認いただくことをお勧めします。

具体的な運用確認、見直し方法についてご不明な点、お困り事等ございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

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